【完】溺愛したいのは、キミだけ。
翠くん、一体どうしちゃったのかな。


「俺だけで、いいじゃん……」


「えっ?」


「他の男、眼中に入れないで」


切なげな声に、ドキッと心臓が跳ねる。


……ねぇ、どうしよう。こんな翠くん、初めて見た。


いつもは余裕たっぷりに見えるのに。


そんな必死な声で言われたら、ますます私、うぬぼれてしまいそうだよ。


抱きしめたまま、翠くんがそっと私の耳元に顔を寄せる。


唇が耳に触れるか触れないかくらいの距離まで近づいて、体が少しゾクッとする。


すると、彼は小声でボソッと囁いた。


「俺がヒナのこと独り占めしたい」


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