【完】溺愛したいのは、キミだけ。
「あれ、ヒナちゃん!」


放課後、靴を履き替えて昇降口を出ようとしたら、偶然美羽と颯希くんにバッタリ会った。


「あ、美羽、颯希くん」


この二人は付き合っているわけでもないのに、いつも一緒にいるんだ。


相変わらず仲良しだなぁ。


「今から帰るの?」


私が尋ねると、美羽は颯希くんの腕をギュッと掴んで答える。


「うん。今日水曜日で部活ないから、颯希と何か美味しいスイーツでも食べに行こうって話してて」


「そうなんだ。いいね」


「ヒナちゃんも一緒に行く?」


「いや、私は大丈夫だよ! お邪魔したら悪いし」


「えーっ、全然お邪魔なんかじゃないのに」


するとそこで、隣にいた颯希くんが私に声をかけてきた。


「あ、そういえば今日、翠先輩休みだったみたいだけど、大丈夫かな」


その名前にドキッとする。


「うん、そうみたいだよね。私さっきメッセージ送ってみたんだけど、返事が返ってこなくて」


「マジで。俺も送ったんだけど、返ってこないんだよね」


「ウソッ」



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