平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
たとえばカルロくらいの大人の白獣だったら、恐らくは密猟者にも太刀打ち出来る術はあるだろう。でも、彼が口にした『子』だったとしたら……?

「ごめんなさいカルロ。部屋の掃除をする前に少しだけ、したいことが出来たわ」

リズは、カルロに向き直るとそう切り出した。

「何か起こっていることがあるのなら、誰かに話しを聞いてみようと思うの」

その場合は、彼も後ろを付いてくることになるだろうと考えて、スケジュールが少しずれてしまっても大丈夫か、ときちんと確認する。

するとカルロが、愚問だと言わんばかりに「ふんっ」と鼻を鳴らし、大きな身体を揺らして腰を上げた。

その姿に、なんだかとても頼もしさを感じてしまった。

自分の方がしっかりしなくちゃいけないのに、リズは涙腺で緩みそうになって、

「ありがとう、カルロ」

ぐしぐしと目元を擦ってから、「行きましょう」と声を掛けて一緒に外へと出た。



小屋を出て少し歩いたが、珍しく獣騎士の姿を一人も見掛けなかった。

普段の散歩コースまで行ってしまう、カルロは首輪をしていない……そう心配になったところで、ようやくリズは、獣舎を超えた先で四人の獣騎士を見付けた。

それはトナー達で、やっぱなんだかバタバタしているようだった。そばに連れている相棒獣と共に走っていて、その方向は正門側だ。

普段なら躊躇して声を掛けないものの、リズは同じように駆け出していた。
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