平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
「さすが相棒獣だ。ここも俺との考えが一致したらしいな」

引き攣り気味の口許から、続けて出た声も少し低い。ジェドの見目麗しい彼の顔には、よくよく見れば小さな青筋まで立っているようだった。

なんだか、機嫌が悪い……?

昨日、仕事では大成功を収めたと聞いている。ここ連日続いていた密猟団の件も済み、あとは少しの書類処理などのやりとりだけだと耳にしたばかりだ。

「……えっと、団長様、昨日ぶりですね」

リズは、理由が分からなくて恐る恐る声を掛けた。

そうしたらカルロとジェドが、揃ってフッと鼻で笑ってきた。

「相変わらず幼獣達に大人気で何よりだ。昨日降ろした以来だというのに、俺のところに来ないで、真っ先にこっちに来て時間を使っているとはな」

「あの? そもそも、団長様のもとへ行く理由がないのですが……」

報告についても、いつも通り副団長のコーマックに行った。リズの立ち場からすると、彼を飛び越して獣騎士団のトップに会うこともない。

「えぇと、教育係りだって無事に終わりましたし、私は今日から、この子達だけの世話係りですから」

リズは、よく分からなくて戸惑いがちにそう答えた。

すると、ジェドとカルロが、揃って不機嫌なオーラを出して黙り込んだ。待たされているリズは、そろそろ持ち上げるのをやめて欲しい、と少し思った。

その時、彼が「ふうん」と美しい思案顔で言った。

「この子達だけ、ね――」
< 178 / 182 >

この作品をシェア

pagetop