君とみたあの夏の流星群。

ここだけ、異世界のようなそんな気にさせられる。



実際、星空の下で泳ぐ魚の姿を見られる人なんて、そうそういないと思う。


「綺麗だね」と私が呟くと、隣で見ている碧都は「うん、綺麗」と、返してくれる。


「……流星群を見た日のことを思い出すね」


碧都は、星空を見ながら懐かしそうに言った。


私も碧都に言われて、流星群を見た日のことを思い出す。


思い出したんじゃなくて、思い出さないようにしていたことを、今、はっきりと頭に浮かんだ。


プラネタリウムの星は、もちろん、綺麗だけど……


夏に見た流星群の星空は越えられない。


でも、思い出した瞬間


私に、来年はあるんだろうか……


そう考えずには、いられなくなってしまう。


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