好色歯科医が初めて真剣な恋をしました

浜辺の駐車場に 車を停めて 

駿平は 真美と 砂浜に下りた。


「あのね 先生。私の母 看護師なんだけど。結婚してからは ずっと 家の近くの小児科で パートをしているの。だから 友達にも有名だったの。真美ちゃんのお母さんって いいなぁって。若々しくて 明るくて みんなに優しくて。」


楽しそうに はしゃいで 砂浜を 歩いた後で

堤防の階段に 腰掛けて 真美は 話し始めた。


「私 母のこと ずっと自慢だった。小さな頃は。でもね 先生。私 だんだん 母が信じられなくなっちゃって。」

「信じられないって?」

「だって。私の母ね 家でも 不機嫌になったりしないの。いつも笑顔で。私にも 優しくて。立派すぎるでしょ?家にいる時くらい 気を緩めて 弱い部分 見せたり。負の感情を 表に出しちゃうでしょ?家族なんだもん。それが 一度もないんだよ?母は 理想的過ぎて。嘘つきに見えちゃうの。」


弱い両親に 苦しんだ駿平は 真美の言葉に 苦笑する。


愛情の強すぎる 真美の両親。

娘の真美でさえ 疑いを持つくらい。






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