好色歯科医が初めて真剣な恋をしました

真美と亜紀子は 待合室ソファで 2人で話す。


「そうよね。私が 真美ちゃんでも 同じように 悩んだと思う。心配だよね?先生 プレイボーイだから。」

亜紀子は 優しく 真美を見た。

「それもあるけど。それより 私 先生に 相応しくないから。私 お金持ちでもないし。ただの歯科衛生士なのに。先生 私と一緒にいても 何のメリットも ないでしょう。」

真美は ポツポツと 言葉をこぼす。

「真美ちゃん そんなこと 考えていたの?駄目ねぇ。相応しいとか メリットとか。恋愛って そんなことじゃないでしょう?好きっていう気持ちから 始まるのよ。いくら メリットのある人でも 好きになれなければ 恋人にできないでしょう。」

亜紀子は 少し厳しい口調で 真美に言う。

「えっ?」

驚いた顔で 亜紀子を見つめる真美。

優しく頷いて 亜紀子は 続けた。


「最近の先生 見てられないくらい デレデレしてて。幸せそうで。あんな先生 初めて見るわ。真美ちゃんが 先生を変えたのよ。自信を持って。先生は それくらい 真美ちゃんを好きだってこと。」

「先生が?私を?」

「そうよ。真美ちゃんも 先生を好きでしょう?同じよ 先生も。だから 素直になって いいんじゃないかな。先生を信じて。」


真美の表情は スッと明るくなった。


「亜紀子さん。ありがとう。私 考え過ぎるの 止めます。」

「そうよ。無駄な思いやりって 邪魔になるだけよ。」


笑顔で頷く真美に 亜紀子も 笑顔を返した。


「あのね。真美ちゃん。今日 少しだけ 先生を貸してくれる?私 今 お付き合いしている 大西先生のことで 先生に 相談したいことがあるの。」

真美を 慰めながら 亜紀子は 決心していた。


自分の気持ちと しっかり 向き合おう。

今のまま 豊と 付き合うことは

自分も 豊も 裏切っているから。


「そんな。貸すだなんて。私は 大丈夫です。亜紀子さん 気にしないで。」

「ありがとう。」

亜紀子の言葉に 真美は 笑顔で 首を振った。






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