こちら、陰陽相談所~"妖怪"は目に見えなくてもちゃんと存在するのです☆~
明らかに違うと分かっているのに,ついそんな訊き方をしてしまう。
『まあ,そのようなものです。――屋敷の中で,()があるじがお待ちでございます。こちらへどうぞ』
 その少年は曖昧(あいまい)にはぐらかし,嵯峨野氏のことを(だと美咲は解釈(かいしゃく)した)"あるじ"と言った。
「"あるじ"って……,もしかして嵯峨野さんのこと?」
 ――屋敷の中を案内されながら,美咲は彼に訊ねてみる。
『ご明察(めいさつ)でございます。(わたくし)は大我様にお(つか)えしております,琴葉(ことは)と申します』
「"お仕え"って……」
『そうですね……。"式神(しきがみ)と申した方がお分かり頂けるでしょうか』
 ――ということは,やっぱり……。
(この琴葉君も妖怪……なワケだ)
 "式神"とは本来,陰陽師(おんみょうじ)呪術師(じゅじゅつし)などがしもべや配下として使う存在のことで,たいていは妖怪が選ばれるようだ。
 式神を置いていることからして,嵯峨野氏はそのどちらである可能性が高くなった。
(あたし,なんかとんでもないところに面接に来ちゃったなあ……)
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