マシュマロベイビー



「へ?



なにそれ。




…セフレ?」




めんどくさそうに言ったのは(そう)




アラタはバイト終わり。




奏たちと



いつものように、つるんで



遊びに行く途中。




突然の



アラタのボディガード発言。



「バッカ。



違えし



何か…。




何だろ。悪いなってのが



1番なんだけど。



ちょっと、ほっとけないっつーか」



アラタが考えながら



答える。



「狙ってんの?」



みんなで歩きながら、コウタが言う。



「だから、そういうんじゃねえって。



おれ…オトコトモダチ?らしいし」



ちょっと笑いを含んだアラタの言葉に




「は?」



変なカオする奏。




なんだそれ。



今さら、赤高の子と、



オンナと




オトコトモダチとか…



だいたい



赤高なんて、ここらで1番の



進学校だぞ?



おれらとトモダチ?



マジで言ってんの?



そもそも



オトコとオンナに友情なんて




成立しねえし。




何だよ。アンジェリーナのオンナって。



「あ、来た」



アラタの声に



振り返った奏。



1番に思ったことは



何だあの乳。



だったけど。




それは、置いといて。



征服欲をそそる顔も、雰囲気も




バリバリのオンナノコじゃねーか。



オトコにモテそうだし。



いい子って? アラタ。



チヤホヤされて、絶対遊んでんだろ



これは。



トモダチプレイか?



…違うか。




まあ、この子がそんなタマかは


知んねーけど。



なんか…



アラタらしくねえな。




奏とアラタが知り合ったのは




若業こと若松工業に入ってからで



同クラで、気が合って



仲良くなるのに時間なんかかからなかった。




アラタは俺と違って、人当たりも割と



良いし。



女にも優しくて



笑顔がかわいいなんて言われてて




人気あるけど…



(コンパだなんだって、1番モテるのは



アラタ)



実際はさ。



めんどくさそうなのには手出さないし。




遊ぶの上手いっていうか、



傷つけないし、泣かさないのに



美味しいとこだけもらっちゃうっていうか



たいしてマジじゃないくせに。



上手に生きてるタイプ。



「ん?」って、ニコって笑うだけで



相手から声かけさせちゃうようなオトコだぞ。



コイツは。



そんなアラタが



こんな目に見えて



ややこしいことに



進んで



手だすなんてな。



らしくない。



おれなら絶対やんねえ。



ぜったい、めんどくせえ。



それとも、やっぱり、プレイか?




〝トモダチごっこ〝的な?




まあ。



別にいいけど。





っと、見えなくなるアラタたちを




見送っていたら



ノーマークだった。




あの萌って子の友だち。



萌とは正反対なクールな感じ。




…私は征服されないわよ




って言ってそうな(おれの勝手なイメージ)



目して



おれを見てる。



その醒めた瞳は冷たいのに



視線が交差して



なんでか、目が離せない。



目尻の上がった切れ長の瞳。



そこにある泣きぼくろが印象的。



キレイなストレートロングな髪が



ポニテでまとめられている。



言動もだけど、ムカつくな。



特にこの目。




『あんたたちなんて』



って、真っ直ぐ見てくるその目は




雄弁に言ってやがる。




キ、ラ、イ。




あああ。マジで何なんだよ。



なんか、しんねーけど。



コイツ。



すげえ、ムカつく。



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