マシュマロベイビー



紅葉(くれは)が高校一年生のとき、




初めて付き合った



ひと。



彼は若業の一つ上の先輩だった。




出会いは、



デリバリーピザのバイト先で



最初は女の子に慣れてる感じしたし、



遊び人っぽいし。



派手だし、ちょっと怖いのかな。って思ってた



けど、すごく紅葉に優しくて。



いつのまにか、よく話すようになって



一緒にバイト終わり帰るようになって




『好きなんだけど。』




そう告白されたとき




涙が出た。




嬉しくて、涙が出た。



わたしも



先輩が、好きだったから。





小学生ぐらいの頃から、



自分も高校生とかになったら



彼氏ができて



少女マンガみたいな恋愛するのかな




できるのかな。って、



漫然と憧れてたから。




好きなひとに



好きって言ってもらえて




好きって言えて



何か夢みたいだったの。



全部初めてで。



彼氏も



デートも、キスも



何もかも。




夢みたいで、幸せで



だけど、



現実は怖くって



夢は叩きつけられたみたいに



粉々になった。




先輩の好きは、紅葉の好きとは



全然違った。





他にもオンナのひとがいること



自慢してた先輩。



それだけじゃなく、友だちに



紅葉がどんなに



簡単に先輩に落ちたか



笑って話していた。




自分の耳で、目で



知っちゃったとき。




どうしていいか、わからなくて




倒れそうな顔している紅葉に



「そんな顔するなよー。



他にオンナいないなんて、言ってないじゃん?」



「彼女大丈夫ー?こんなやつやめて、



次は俺と付き合ってー」

 

みんなで笑った先輩。



紅葉の中で、初めての恋が終わったのと



同時に何か、死んじゃった気がした。




紅葉だって、わかってる



ただ、先輩がそういうひとだっただけかもって。




紅葉の見る目が無かっただけだって




先輩が若業だからって、若業の子が



みんな先輩みたいなひとじゃないって



わかってる…



だけど、あのときから




若業の子が…



オトコが嫌いで



特に、集団で騒ぐ若業の子を



勝手に身体が拒否しちゃう。



軽いトラウマなのかも。




でも、萌が



全部話すから。



奏たちのこと。



すごく楽しそうに、




面白い話ばっかり




すごい、楽しそうに話すから…。



最初は萌が



心配で、心配で



疑ってかかってたし



紅葉は、萌が大丈夫なように



監視しなきゃ!



って、くらいの気持ちだった。



だけど、実際会ってみて、ほんとに



楽しいし。



アラタくんもほんと



いいひとっぽくて…。




何だろう。




先輩とは違うんだって…




別にアラタくんが萌に絶対!




手出さない。とかではなくて




…何か、萌を傷つけない?




傷つけたくない。




そう、傷つけたくないって、




大事だって思ってくれてるのが



言葉や行動の



端っこの方に見えて…




紅葉自身、



オトコを信用してないことに



変わりなんかないけど。



オトコとかオンナとかじゃなくて、



彼氏とかじゃなくて



トモダチなら



奏たちとトモダチに慣れたら



いいなって思ったの。



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