マシュマロベイビー


両手を後ろで組んで



ピョンピョン跳ねる。



パンを食べようと必死で、こどもみたい。



大きな小麦色の袋に入って



隣の子とお互いぶつかりながら、



こけたりして



笑って進む。




くじ引きでは、大きなバケツ?



みたいなのすっぽり体にかぶって



走ってる。



何でだろう。



かわいかったり、カッコ良かったり



わっ。



アラタくんっ。けっこう派手にこけちゃったっ。




だいじょうぶ?!




グランドをかけるアラタに。



萌の胸はずっと、ドキドキしてて



苦しいくらいで



手をギュってしてないと



耐えられないくらい



胸が震えている。



萌の瞳は勝手に



アラタに釘付けで




アラタが



萌には



カッコ良すぎて、



たまらないんだけど。




どうして?



どうしよう。



そんな萌に



横に座ってたコウタが言った。



「萌ぴょん。見てて。今から



すごいから」



え?




今のところ、あの良二?って人が1番で



アラタはけっこう遅れて2番。



障害物が終わって



今から最後の100mに差し掛かるところ。



走り出すアラタ。



前を行く良二の背中を追いかける。



え?



きれいなフォームで



翔けるアラタ。



良二との差はどんどん



縮まって…




どよめきのような歓声が上がる。




良二をとらえて



抜き去るアラタ。




そのまま、スピードにのったアラタは



グランドを駆け抜けて



ゴールのテープを切った。
 


他の機械科のクラスメイトと同じように




うおおおーって



勝利の雄叫びを上げたあと




コウタが言った。



「ね?すごいっしょ?アラタ。



めっちゃ、足速いんだよね。



ていうか、バスケもできるし



スポーツは万全いけるんだけど、



それにしてもあの足は格別だよね」



機械科のみんなにもみくちゃにされた




アラタが右手を上げて



こっちに手を振る。



あの笑顔で。



萌は手を振り返すだけで、



せいいっぱいだった。



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