幼女総長と不良たち

答えはこいつだ。

今私を平然と(ひざ)の上に乗せているこの男。


「そうだ、オルカに似合いそうな服を買って来たんだよ。うちの執事に行かせようかと思ったんだけど結局午後の授業さぼって僕が買ってきたんだ。」


私の肩に手を置いた宗平が、ほぼ素肌の肩をさすりながら言った。

ゾワッとするわっ!!

私は振り返り様に宗平の手を振り払った。

でも私の小さな手はいとも容易く宗平に掴まれる。そして両方に掴まれた手をそのまま上に挙げられた。


「あはは、ほらばんざーい。」

「くっっ!」


私は無理に万歳をさせられ、足で宗平の胸目掛けて蹴ろうにも足が届かない。

まさに手も足も出ないとはこのことだ。


「えっっ?!マジ?!ちっちゃい織果ちゃんは力も失くなっちゃったの?!
なにそれ、虐めたい放題じゃん!!」


三潴の声が完全にニヤけているのが分かる。

まずい・・・!これでは日頃の恨みを思い知らされてしまう!!

里桜に助けを求めようにも数々の失態を私に晒したショックでまだ立ち直れていない様子だ。

完全に畳にうつ伏せになり、畳の目を人差し指でなぞっていた。


「さあオルカ、僕が買ってきた服に着替えようね??」


未だ私を万歳させたままの宗平が悪魔の声で囁く。


「わ~織果ちゃん完全に二越の着せ替え人形だね~。
あ、二越!その人形たまには俺にも貸してね☆」


三潴が宗平にバチっとウィンクを向ける。

でも宗平は三潴に(さげす)みの目を向けて言った。


「失せろ(けが)らわしい!このオルカは天使だぞ?!お前なんかに貸したら将来とんでもない阿婆擦(あばず)れになる!!」


うんうん、確かにそれはそうかもしれない。


「いいか?この天使のまま育てていけば10年後にはそれはそれは素晴らしい女性になっているはずだ!普段のガサツで女らしさの欠片もないオルカを作り替えるチャンスなんだぞ?!」


え?!育てるとかそんな長年に渡る壮大な話なの?!!

自分が悪口を言われているにも関わらず、つい「育てる」方に気を取られてしまった。

でも赤目の阿婆擦れ製造機は、先程向けられていた蔑みの目を今度は宗平にそっくりそのままお返ししていた。


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