幼女総長と不良たち


口を開けて必死に呼吸をする私に、凌久が背中を向けたまま私に近付く。


「直ぐ金髪に連絡しろ!」

「え?!」

「いいから!早く!」


今までの冷静沈着な凌久じゃない。

その様子に跳ねる心臓を抑えようと深呼吸を繰り返すもなかなか治まらず、

震える手で必死にスマホの画面を触った。


「・・・凌久たちには、"bad jorker"を殺って貰おうと思っていたのに。ちょうど皆恨みもあってさ、"ちょうどいい"存在だったのに、ね。」


何を言っているの・・・

「殺って貰う」って、何それ。


「・・・お前・・・俺たちの仲間に入れてくれって頭下げときながら何が"ちょうどいい"だよ?」

「凌久たちだって、ボクがいて、ちょうどよかったでしょ??
洸太郎もボクの血が売れるって、喜んでたし。」


震える手でようやく里桜の電話番号をタップする。

コール音が鳴り始めると、凌久が重心を低くし、今にも拳を突き出しそうな構えをする。

ゆっくりと吐く凌久の息が、空気中へと吸い込まれていった。


・・・何かがおかしい。

凌久は、強いんだよね?

だって、言ったよね?

「俺が来て良かったな」って。

強いから私の護衛役に立候補してくれたんでしょ??

それなのに・・・


洸太郎がハン君に「この馬鹿力がっ」て言った言葉と

さっき凌久の頬から流れた血の量と

里桜に連絡しなきゃいけない理由が


今のハン君の言葉に、全て表れていて───



「ねえ、凌久・・・

ボクの血の匂いと伊東さんの血の匂いは、同じくらい甘いの?」




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