幼女総長と不良たち


「なんで・・・なんでッッ

ボクはこんなに想っているのに!!!!」



ハン君の顔が乱れ、瞳が雫を含み出す。


・・・例えその想いが狂気だとしても、

ハン君は私に会うためにずっとずっと努力して生きて来たんだ・・・

私に想いが通じるとずっとずっと信じて


───私だけを。



つい手を差し伸べてしまいそうな気持ちをぐっと(こら)え、私は里桜の背中のシャツを掴んだ。

里桜が、触れた背中から小さく深呼吸するのが分かった。


でも里桜が息を吐いた瞬間、

ハン君が再び飛び掛かって来た!!


里桜に向かってじゃなく、

私に向かって────


私の顔面スレスレまで来たハン君の目に、小さな私の姿が映る。


「ッッ」


「させるかよッッ!!!!」


ハン君の背中から腕を回した里桜が、後ろに彼を身体ごと投げる。

でも咄嗟に体勢を立て直したハン君が足を地につけ踏ん張る。

宙に浮いたタイミングで里桜のシャツを掴んでいたハン君が、今度は里桜を投げ飛ばそうとした!!


「里桜ッッ!!!!」


ダアアアアンッッ!!!!


私の叫び声と共に里桜がハン君に倒された!!


「ああああ"あ"あ"あ"あ"ッッ!!!!!」


里桜の異様な叫び声が部屋中に木霊する。

何が起こったのか、嫌な予感が背筋を凍らす。

私は四つん這いになりベッドから2人の姿を見下ろした。

ハン君が里桜に馬乗りになり、里桜の肩からは

血が流れていた─────



「ぐああ"あ"ッッッッ」

「くそっ、くそっ、くそっっ!!!!」


ハン君が里桜の肩に刺したナイフを上から体重を掛けるようにグッと押す。


「っやだッッッッ」


里桜が呼吸を荒げ顔中汗を流している。


「止めてハン君ッッッッ!!!!」


なんで、何でこんなことに────


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