諦めた心
⒒各々のその後

てっちゃんと結婚して
まもなく二年を迎える時

兄・日和が結婚をする事に
お相手は、山口先生の所の
心療内科の先生
岡野 咲良子(おかの さくらこ)先生。

私の入院中には、
兄は私の事ばかりで
回りを見る暇はなかったらしい
だが、退院しても
私は、咲良子先生にずっと
お世話になっていた。
もちろん一週間に一度は
私の現状を山口先生にも
診てもらっていた。
山口先生は、私がきちんと
生きてやっているのかを
見守ってくれていたとわかる。

だって毎回
「ちゃんと食べてる?
ちゃんと眠れている?
杖の状態は問題ない?」
と、聞かれるだけの診察

曽我屋先生と言い
山口先生と言い
本当に腕もだけど
優しくて患者さんに寄り添う
素晴らしい先生方だ。

現状の把握に
兄が呼ばれて咲良子先生と
話す事が何度かあり
どうやらその時に
兄が一目惚れしたらしい

咲良子先生は、
細くてスラリとしていて
綺麗で真っ白で雪の妖精では
ないかと思うような人

兄が何度もアピールして
付き合えるようになったとか

嬉しかった·····
ずっと私が縛りつけてきた兄に
申し訳ないと思っていたから

てっちゃんからは
「日和が勝手にやっていたことだ。
一華が気にする必要なない。
だが、これで一も二もなく
一華は俺だけの者だ。」
と、言うから
呆れるやらてっちゃんの優しさに
癒されるやら······。

式には、岩間先生を始め
事務所の先生方やスタッフの方
山口先生や咲良子先生のスタッフの方
咲良子先生のご両親やお身内の方々
二人の友人達

母さんと私と哲也さん

咲良子先生は
本当の雪の精みたいに綺麗で
お兄ちゃんは終始鼻の下が
伸びていた。

だが····
てっちゃんときたら
私が二人の写真を撮ろうとしても
「一華は、座ってろ。」
咲良子さんのご両親にご挨拶に
行こうとしても
「一華、どこに行くんだ。」
と、言うし
おトイレに行こうとしても
「一華、俺が」
と、言って抱き上げようとするから
「もぅ、てっちゃん!!」
と、言うと
母さんは、笑いながら
「大変ね、一華。」
「笑い事じゃないよ、母さん。
まだ、お兄ちゃんの方がよかった。」
「ああっ、日和なんかと」
「だって、てっちゃん。」
と、言う私に
「心配なのよ、哲也さんは。」
と、母に言われて
「わっ、わかってるけど。」
と、私達がワイワイ話してると·····
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