犬奴隷に懐かれました～伝説級？そんなことよりもふもふしてもいいですか？～

◆１
「お金……なかなか貯まりません……」
　次の町に移動するためのお金…….
　護衛の冒険者を雇うか、月に一度の乗合馬車に乗るか。
　ぱぁーっと稼ぐ手段があればいいのですけれど。世の中そんなにうまくはありません。

「【鑑定】」
　しかたがないです。
　唯一の特技である鑑定魔法を使って地味に稼ぐしかありません。
　大通りに面した路地の片隅に座り、通り過ぎる人を鑑定。
　誰を鑑定しましょうか。
　あ。すごい。
　なんかひときわ目立つ人を発見しました。２ｍくらいありそうな高身長。そして筋肉ムキムキで、とにかくでかい！
　さっそく検索です。
【鑑定結果
　名前：ルクマール
　続きはWEBで】
　相変わらずの結果です。
　私の検索魔法では、名前しか出てきません。
　いつも「続きはWEBで」と表示されます。
　だいたい、この剣と魔法となんだかゲームっぽい世界で、WEBってなんでしょうね！
　半透明の画面のようなものが目の前に浮かんでいて、入力窓と、虫メガネみたいなマークの検索ボタンまで表示されます。
　ＷＥＢ検索っていうと、便利そうでしょう？でも、こっからがめんどくさいんですよ。
　検索窓には、すでにルクマールと名前が入力されています。検索ボタンを押すだけの親切設計です。
　検索実行の、虫メガネマークを心で念じて押せば、検索結果はすぐに表示されます。
　検索結果の画面には、表題と、内容の一部が文字で出てきます。
　まさに、グーグリ先生の検索結果そのまんまの画面。あ、広告はないですけどね。
　検索結果を上から順に目を通していく。
「えーっと、金貸しルクマールは、取り立てが厳しいから、借りたら最後……、ルクマールは嫁が好きすぎる。８０歳になる今でも嫁とののろけを日々欠かさない……、もうルクマールったら信じられない。私のこと好きって言ったのに、次の日には別の子の肩組んで歩いてるんだもんっ。ちょっとイケメンだからって……」
　鑑定魔法をかけた男を見ます。
　金貸しには見えません。冒険者のような服装をしています。金属の胸当てとか皮の膝あてとかなんかいろいろ身に着けてごっつい格好をしています。
　８０歳っていうのもないですね。どう上に見てもせいぜい３０歳でしょう。