彼は私の絵師なので!〜好きだから、渡さない〜
樹里が喜びに満たされる前に、ふわりと零に抱き締められていた。樹里は「は、恥ずかしい……」と震える声で言うが、零は「ダメ」と離してくれない。

「これからはハグもキスも当たり前にしていいんだもん」

その言葉に樹里はドキドキしてしまう。胸が高鳴り過ぎて壊れてしまいそうだった。

「おめでとう!」

「お幸せに!!」

「素敵な歌だったよ〜」

「二人で何か歌ってほしい」

カフェテラスにいた生徒たちが樹里と零に口々に言う。樹里と零は微笑み、「じゃあ歌おうか」と離れた。

「それでは二人で歌います。嗚呼、素晴らしきニャン生!!」

音楽が流れ出す。樹里の手をギュッと零が包んで微笑んだ。樹里はドキッとしながらも握り返す。

両想いになった日、みんなの前で歌ったこの歌は、樹里にとって特別な歌となった。
< 17 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop