好きなんだから仕方ない。
エイミア様を一人にしてはいけなかったんだ。すぐに見つけて謝らなくては、合流しなくては。動け、目を覚ませ。そう、念じて力を込めた時だった。開いた目の中に飛び込んできたのは昼なのに暗い森ではなく橙色に染まった綺麗な空だった。

「ん。おはよう。自分が誰なのか分かる?」

「ここは・・・。俺は・・・。エイミア様に仕えるクロエラと申します。失礼ですがあなたは?」

「君が仕えるエイミアの本物の従兄弟、パルドメールです。クロエラさん。あなたに会いたかった」

体を起こした俺の前に差し出された手は何をしたのか傷だらけだった。なぜと顔を上げようとすると、彼の足に頭を乗せて眠っているエイミア様の姿があった。その奥にはベッドで眠るやつれた顔のヅヌダクと更に奥の方で怖がりながら俺を見ている子供たち。
彼、パルドメールの手を取って握手を交わしながら安心で意識が飛びそうな自分を倒れぬよう必死に支えていた。
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