好きなんだから仕方ない。
焚き火を囲むエイミア様たちを見つめていた俺にヅヌダクが問いかけてきた。隣に座ったヅヌダクはよく分からない、理解できないと言いたげな表情をしていたけれどこれで良い。不満はあるけれど、エイミア様が守りたがっている笑顔を守れるのならこれで良いんだ。

「王族だった時は一番近くで守ってきたのに国を出た途端、手の届かない遠い存在になった。なーんて思ってるんじゃない?」

「顔に出ていますか?隠しているつもりなのですが・・・」

「さぁ?でも、俺と同じなーって思ってさ」

宿屋の息子、ヒミーと一緒に旅商人をしている友人のコラエダがヅヌダクの反対隣に座った。
俺が無意識の内に問いかけられた言葉に問いで返したのはきっと、考える時間もおしいくらいエイミア様の笑顔を目に焼き付けていたかったから。でも、これが仇となった。コラエダから返ってきた答えが興味をそそる物だったんだ。
王族の執事である俺と旅商人をしているコラエダのどこに共通点があるのか。気になってしまったんだ。
< 122 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop