好きなんだから仕方ない。
「俺が教えられるのはここまでだ。後の細かな調整は経験で何とかするしかねぇ」

「んー、分かった。リッヅ、付き合ってくれてありがとう」

「・・・お前の力は七人の中で一番強い。お前が願えば世界も終わらせられるし仕組みだって変えられる。希望の数だけ、いやそれ以上の絶望を生み出せてしまうという事を決して忘れるんじゃねぇぞ」

リッヅの言葉にしっかりと頷いて部屋を出た。神の常識は人間の非常識なんてエイミアの時に聞いた事があったけれど、間違ってはいないかもしれない。体感では数年も経っていない気がするのに、星の動きを見たら数百年は経っている。
私は神になる器じゃない。力があってもなれる器じゃない。でも、だから私は私なりに完全な神の形になる前の時間を生きる。誰かが本気で願った、ほんの小さな言葉も聞き落とさない。そんな欲深い、人間味のある神だっていても良いじゃない。エイミアの時、誰かが望んでいた私がいても良いじゃない。
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