好きなんだから仕方ない。
そう作った神になのか、神になる前の自分たちへなのかは分からない。でも、エミィ様は静かに涙を流された。心配して近寄ったトワを抱き締めて止めようとせず、自然と止まるまで泣き続けた。
神としての償いなのか、気持ちが分かるから同情してなのか。でも、俺たち魂でさえ自分の使ってきた物や見てきた物には愛着が沸く。何かを作る魂たちはもっと大切にしようと思えると言う事が多い。
ただ、関わった事もない魂ですら愛せて助けてくれる神なら想像できないほど辛いんだろうなって。そう思う。愛した者に突き放されるのはどんな気分なんだろうと想像も出来ないでいる。

「エミィ。少し時間良い?」

「ん?どうしたの?」

「良いとこ連れていってあげる」

メルシオ様の所から帰って来るとぼーっとしたまま動かなくなってしまったエミィ様を笑顔にさせたかったのだろう。トワはエミィ様の手を握って連れていきたい所があるから着いてきてほしいと願った。
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