今夜、あなたに復讐します
「ありがとうございます。
 では、失礼します」
と頭を下げて行こうとしたとき、

「社長っ」
と遠くで指月の声がした。

 いきなり社長室の扉が開いて、掃除夫姿の男が飛び込んでくる。

御坂(みさか)ーっ」

 その手にはフローズンなペットボトルより重い鉄アレイがあった。

 これは死ぬ。

 駆け込んできた若い掃除夫の足許に夏菜は足をかけ、よろけたその腕を両手でつかむと背中に乗せるようにして、斜めからのちょっと無理な体勢だったが、軽く投げ飛ばす。

 遅れて走ってきた指月が床に叩きつけられた暴漢を見て、

「……お見事」
と言った。

 床に頭を打ち付けたらしく、一瞬、暴漢は意識が飛んだようだった。

「あっ、畳の上じゃないのにっ。
 すみませんっ。

 大丈夫ですかっ?」
と思わず、夏菜は暴漢の顔を覗き込もうとしたが、すぐに意識を取り戻した暴漢に腕をつかまれる。

 きゃっ、と悲鳴を上げた夏菜に、有生が立ち上がる気配がしたが、指月は動かなかった。
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