今夜、あなたに復讐します
「あ、は、初めまして。
 藤原夏菜です」

 いきなり後ろを取るとは、この男、かなりの手練(てだ)れかっ、
と身構えたが。

「ちょっと柴田ー。
 あんた、すぐ新しい子にちょっかいかけるのやめなよ。

 そして、私が此処にいるのに、いない美鳥(みどり)を呼ぶのはなんなのよ。

 夏菜、こいつ、可愛い顔してタラシだから気をつけてー」

 そう近くにいた利南子(りなこ)が言う。

 ただのタラシだったようだ……。

 特に殺気を感じなかったから、なにも思わなかったんだな。

 と言うことは、やはり、あの先輩には殺気を感じたということなのだろうかと思ったが、おそらく、有生(ゆうせい)が言うように、強い下心を感じただけなのだろう。

「いやいやー。
 総務系は美女ぞろいなんで、挨拶しとかなきゃと思いましてー」
と柴田は調子よく利南子と話している。

 そのとき、背後から、今度は確かに、なにか危険な気配を感じた。

 指月さんかっ? と振り向く。
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