今夜、あなたに復讐します
 あの人は危険なオーラがあるからな。

 秘書と言っているが、本当のところ、ボディガードなんだろうと思いながら振り返ったが、総務のガラス張りの入り口の向こうに居たのは有生(ゆうせい)だった。

 腕を組み、こちらを見ている。

 夏菜が振り向いたのに気づくと、ちょいちょい、と手招きしてきた。

 なんなんですか。
 凛々しい顔立ちとその動きが不似合いで可愛いんですが、と思いながら、夏菜は席を立つ。

「おはようございます」
と有生に挨拶すると、

「夏菜。
 指月を知らないか」
と有生は言ってきた。

「え? そういえば、今朝は顔見てないですね」

「そうか。
 困ったな。

 何故か出社してこないし。
 携帯にも出ないんだ」
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