今夜、あなたに復讐します
「おかしいですね。
 すごく責任感ありそうな人なのに」

「実は俺のこのあとのスケジュールは指月しか知らないんだ。
 よそにもれて狙われないよう、指月だけが管理している」

「……常に誰かに狙われてるのも大変ですね。
 他に誰か知ってそうな人はいないですか、貴方のスケジュール」

 有生は上を向いて、少し考え、
「いるな」
と言う。

「ちょっと訊いてみよう。
 来い、夏菜。

 総務に話は通しておく」
と言って腕をつかんでくるので、

「えっ、何故ですかっ」
と踏ん張ってみたのだが、振り返った有生は睨み、言ってきた。

「お前、俺のボディガードになるんだろうが。
 指月がいないから、繰り上げて今日から採用してやる。

 逆らうなよ。
 お前が()る前に、俺が殺されたら、お前も無念だろうが」

 いえいえ、私は一発、ぼこりとさせていただければ、それで満足なのですが。

 なんでしたら、今、やりましようか、と思っているうちに、有生は樫本部長に話をつけ、夏菜を連れて、あの黒い車に乗り込んだ。
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