今夜、あなたに復讐します
会合のあるホテルへの移動中、夏菜は、この車広くてよかったと改めて思っていた。
有生との距離が空いているからだ。
近いと緊張するもんな。
だから、助手席に座ると言ったのだが、却下されたのだ。
助手席には上林が座っている。
「夏菜」
上林のタブレットを見ながら、有生が呼んだ。
「はい」
「指月の行方に心当たりはないか」
「何故、私に訊くんです?」
「今までこんなことはなかったからだ。
お前が現れた途端、指月が消えた。
まず、関連を疑うのが当然だろう」