今夜、あなたに復讐します
 私が現れて、指月さんが消えた、か。

「……あ~」
と夏菜は声を上げ、少し笑った。

「もしかして、指月さん、うちにいるかもしれませんよ?」

 指月は怪しい自分のことを調べようとして後をつけたのではないだろうか。

 いつも無意識のうちに人を()くように動いているので、何度か見失ったのではないかと思うのだが。

 やり手の指月のことだ。

 途中までついて来たのに違いない。

「なんか罠にはまって動けないのかも」

「ツルか。
 っていうか、お前んち、罠があるのか」

 はい、と夏菜は言った。

「いつ、御坂(みさか)一族が攻めてくるかわからないからと、ご先祖さまが仕掛けていた罠が今もあちこちに」

「……お前んちは、いまだ戦国時代か」

「ちょっと家に電話してみますね」
とカバンから携帯を出しながら思う。

 指月さんを助けたらご恩返しがあるだろうかな。

 いや、罠仕掛けたのこっちだから、きっとキレられるよな~。
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