今夜、あなたに復讐します
「え?
 なんでですか?」
と反射で訊いてしまっていた。

 ああいやっ。
 今すぐ此処で襲ってくださいとか、そういう意味ではないですっ、と慌てふためく夏菜をおかしそうに眺めたあとで、有生はまた歩き出しながら言ってきた。

「いやいや。
 UFOに邪魔されたらいけないからと思ったんだが、お前がいいならいいか」

 いやいや、と夏菜は手を振る。

 広い家の中、少し歩いて有生は訊いてきた。

「もう此処でいいか」

 いやいや。

「寝室ならいいか」

 いやいや。

「ベッドの上ならいいか」

 いやいやと手を振りながら、夏菜はベッドに放られていた。
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