今夜、あなたに復讐します
「優勝、指月!」
戦いは終わった。
頼久が指月の名を呼び、指月が有生に、
「今度は社長に勝てましたよ」
と笑って言う。
「……着付け競争でだろ」
と強がりながらも、有生は悔しそうだった。
「なお、勝者にはこの小判と、本人が望むなら、来年、夏菜を着付ける権利を与える。
好きなだけ、くるくる回せ」
と孫娘を売り渡しながら、頼久は指月に紫の布に包まれた小判を渡していた。
「ありがとうございます」
と指月が受け取る。
「準優勝、有生!」
ニセ一万円札の束を受け取った有生は夏菜の肩を叩き、
「今夜一緒に入ろうな」
と言って、みんなに、ケッという顔をされていた。