蜜月身ごもり婚~クールな旦那様のとろ甘な愛に溺れそうです~【華麗なる結婚シリーズ】

「ねえ? 誰から真翔君が結婚するって聞いたの? どうしてそんなに私に勧めるのよ?」
「え? だって蓮人君が」
蓮人?
聞きたくない名前に、私はキュッと唇を噛んだ。

「蓮人兄さまがなに?」
たぶん急激に声が低くなったと思う。自分でもかなり動揺をしているのがわかり、それを隠そうとして、そんな声になってしまった。

「蓮人君が、真翔君が結婚を考えていそうだから、早くまわりから固めて鏡花とお見合いさせた方がいいって」

「どうして蓮人兄さまが……」
つい呟いた私に、お母さんは小さくため息を付いた。

「そんなのはわからないけど、鏡花のお見合いの相手として候補にあがったのが、真翔君と蓮人君で……」
そこまで聞いて私は、「はあ?」とつい声が漏れた。
「こら、鏡花。なんですか。その声は」
お母さんの鋭い視線に、私は口をつぐむ。
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