寂しい姫と不器用王子


「何で嫌なの?」

「…だって」

「うん?」

「私だけじゃないから」

「浮気してるとでも?」

「そういうことじゃなくて…陽太が言ってた、高2にもなれば、未経験なわけないって」

「あー」

「駿くんが私だけじゃないの嫌だから、したくない」


なんだ、そんなことか。


「初めて名前呼んでくれたね。それに何、独占欲まであるんだ?俺のこと、姫莉のだけにしたいって」

「からかわないでよ」

「俺多分下手だよ、未経験だから」

「え…?」

「彼女いたことないし、この寮で去年女子生徒入れてなかったから、抽選で入ってきたのが姫莉だし」

「高身長ハイスペックイケメンなのに?」

「お褒めの言葉ありがとう」


姫莉は、俺の言葉を信じてくれたようで、軽く体を起こして、頬にキスをしてきた。


「好きだよ、駿くん」


破壊力やば…。


「キスするならこっちだろ」


唇にキスして、冬なのに熱い夜になった。



数年後。

俺らは結婚、2年後には子供にも恵まれる。
陽太からの呼び名は、子犬先輩から子犬にいさんに変わった。妹の旦那だから、年上だけど義弟なんだがな。

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