寂しい姫と不器用王子



「なに、恥ずかしいの?暗くしてるから見えないって」

「そうじゃなくてっ…」

「なに?」

「怖い…」

「ちゃんと着けるよ、大丈夫」


寮の方から、ご丁寧に用意してもらってる。


「違う…」


そう言って泣き出してしまう。

さすがに手を引っこめる。

理性を取り戻す。


「どこから嫌だった?」

「…脚触られるくらい」

「ごめん…つい」


横にゴロンとなり、頭を撫でる。

急にオスになられたら怖いか。
そんくらいに思っていた。


「次からは気を付ける」

「そういう行為、したくない…」

「まだ俺のこと好きになれないから?」


黙り込んでしまった。

また影がひとつ。久しぶりに感じた。


それからなんとなくだけど、距離を置かれるようになった気がする。気まずいのか。なんなのか。


そんなこんなでいつの間にか冬になっていた。

寒いから、寄り添って寝てはくれる。

だけどスキンシップは以前より少なくなってしまった。


ある夜。試しに聞いてみた。


「姫莉?…してもいい?」

「したくない」

「そりゃそうか」


夏から気持ちは変わってないらしい。


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