トップリーガーの恋~おまえの心にトライする~
救急車の中で隊員の処置を見守る澪。

再度聞かれた事には答える。

一刻も争うこの状況に受け入れ許可が出た病院は、これも縁なのか『楠田総合病院』だった。

見慣れた景色に、病院の近くまで来ていることを悟る。

休みの日に、スポーツ観戦のはずが勤務している病院に救急車で来ることになるとは思わなかった。

救急車の到着を見知った看護師が待ち構えていた。
救急車の後ろの扉が開くと、
「え?本城さん??」
いつもの眼鏡をしていない澪に驚くが、患者が優先だ。

あっという間にストレッチャーを押して行ってしまった。

救急隊員に、
「取りあえず、身元を調べます。財布と携帯をお持ちでしたので、連絡をしてきます」と言われひとり取り残された。

仕方なく、よく知る病院の救命救急の前の椅子に腰掛け待つことにした。


どれ位待っただろう。
静かな廊下にバタバタと足音が聞こえてきた。
顔を上げると焦った様子の年配の女性と、意外な人物が…。

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