居候同期とフクザツな恋事情



「洗濯物たたむのは得意だよ。学生時代、服屋でバイトしてた。メェちゃんのもこれからたたんであげようか?」

イオが満面の笑みで嬉しそうに私に提案してくる。

そうか、学生時代に服屋で。イオみたいな店員がキラキラした笑顔で店にいたら、ムダに立ち寄っちゃいそうだけど……

って、そういうことではなくて。


「いらんわ!」

洋服はともかく、あまり見て欲しくないものまで丁寧にたたまれちゃってたりすると困る。

乱暴にお断りすると、イオが残念そうに眉尻を垂らした。


「そっか。じゃぁ、なにか他に役に立てることがあったら言ってね。いろいろお世話になってるし」

「そう思うなら、あっちで座って待ってて。さっと片付けちゃうから」

洗剤の泡がついた手で、イオのことを追い払うような仕草をしてみせる。

だけどイオは、シンクの台を両手で握ってたったまま、私のそばから離れなかった。


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