居候同期とフクザツな恋事情


データの保存なんて、いつも当たり前みたいにやっていることだし。

まさかな、とは思いながらファイルを閉じたばかりのプレゼン資料を開く。

それを上からざーっと確認していくと、途中ページに追加したデータと後半数ページ分のデータが保存されないままに綺麗さっぱり消えていた。


「え、嘘……」

消えたデータの中には、時間をかけて調べて書いた英文の資料もあったのに。

残業2時間分くらいのデータの喪失に、頭の中が真っ白になる。

時計を見ると、もう21時過ぎ。今から、消えたデータの作り直しをする気力がおきない。


「あーあ」

脱力してデスクに倒れ込んだとき、そばに置いていたスマホの通知音が鳴った。

デスクに伏せたままやる気なくスマホを拾い上げると、通知の内容を確認する。


『了解。メェちゃん、まだ仕事中?』

届いていたのは、そんなイオのメッセージだった。


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