居候同期とフクザツな恋事情
「メェちゃん、オムライス?」
うどんの丼に箸をつけながら、イオが私の前のトレーを指差してにこりと笑う。
「うん。今日の限定メニューだって」
「みたいだよね。写真見て、デミグラスソースが美味しそうって思ったけど……オムライスの食券買ってる人多くて、時間かかりそうだから諦めた」
「そうなの?そんなに待たずに出てきたよ」
「なんだ、残念。美味い?」
「普通に美味しいよ。ちょっといる?」
笑いながら、冗談のつもりでオムライスをひとくちすくったら、スプーンを持っていた手を横からイオにつかまれた。
「うん、ちょーだい」
首を傾げてにこっと笑いかけてきたイオが、私のスプーンからオムライスをパクリと食べてしまう。
周囲には他の社員もいるというのに……
案の定、向かいの席に座っていた女子社員が私たちを見て目をパチパチとさせていた。
「ちょ、イオ……」
まさかの大胆なイオの行動と目撃者の存在に、頬が燃えそうなくらいに一気に熱くなる。