赤い毒は愛の証
粉雪のように白い肌、血のように赤い唇、そして黒檀のように美しい黒髪を持った美少女が街を歩いていく。多くの通行人が足を止めて彼女を見つめた。

彼女の名前は白川雪(しらかわゆき)。その美しい容姿で数多くの人々の注目を集め、モデルのスカウトをされることも多い。

「美人だな〜……」

「あんな子と付き合ってみたいな〜」

男性たちが頬を赤く染め、雪を見つめる。雪は何も聞こえないフリをして歩き続けた。コツコツと足音が響いた。

「美人だし、何を着ても似合うんだろうな〜。頭につけられている赤いリボンも、レースのついた水色のワンピースも、ルビーのブローチもよく似合ってる!」

「きっとみんなから愛されて、幸せなんだろうな〜。人生の勝ち組だよ〜」

女性たちの羨望の眼差しに、雪は今すぐに逃げ出したくなった。誰からも愛されているわけではない、そう大声で雪は言いたくなる。

学校では高嶺の花と言われ、話しかけてもらえないことが多い。母親は美しすぎる雪を見て、「あんたはこんなに綺麗にならなくていいのよ!!」と怒り狂う。雪は愛ではなく、毒を与えられて育ってきた。
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