赤い毒は愛の証
「こんな私を愛してくれるのは、きっと彼しかいない……」

雪はそっとルビーのブローチに触れる。雪の彼氏である誉(ほまれ)がプレゼントしてくれたものだ。

誉は雪の通う学校の王子的存在で、女子生徒からモテている。勉強もでき、運動もでき、おまけに性格が優しくてお金持ちなため、彼を狙っている女子生徒は多かった。

その中で、誉は雪を選んだ。堂々と告白をされ、雪は戸惑いながらも誉に「よろしくお願いします」と答えた。そして、初めて人の愛に触れたのだ。

「雪、愛してる。本当に綺麗だね」

誉はよく雪にそう言い、キスをしてくれる。デートに遊園地や水族館に行き、今日は初めて誉の家でデートすることになったのだ。

「誉くんの家、どんな家なのかしら。緊張する……」

雪は何度も深呼吸をしながら誉の家に向かって歩く足を早めた。



誉の家は、雪が想像した以上に大きなお屋敷だった。西洋風のおしゃれなお屋敷に雪は恐る恐る呼び鈴を鳴らす。

「雪、来てくれてありがとう!嬉しいよ!」
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