復讐の華
「ん、ごめん。何だっけ?」
「今度一緒に買い物行こうねって話!」
「うん、分かった。行こう行こう」
誰も私の様子の変化に気付いていないようで胸を撫で下ろす。
とにかく今は彼らの懐に入ることだけを考えよう。
彼らと私はどうにもなる訳がないんだから。
いつの日からか、当たり前のように來が家まで送ってくれるようになった。
バイクの後ろに乗って、風に吹かれる時間は好きだった。
何も考えなくていいその間だけは來の背中に全てを委ねていた。
自室に入ると、電気を付けなくとも月の灯りがぼんやりと照らしている。
窓からは燦々とその存在を主張する月が光っていた。