復讐の華
「飛鳥の近くにいたのに、救えなかった。何も言わずにいなくなった飛鳥を追いかけることもしなかった」
彼女は私に飛鳥を映して、泣いていた。
救えなかった過去に自分を責め、己の無力さに泣く彼女の姿は、かつての私だった。
だからどうすれば彼女を掬い上げることが出来るかを知っている。
手を差し伸べて、認めて。
「飛鳥は美波みたいな友達がいて、幸せだったと思う」
そしてそっと抱き締める。他人から与えられる温かさは、傷をも癒す。
あの人が私にしてくれたみたいに、私も美波を深淵から引き上げた。
飛鳥のことを思って泣いてくれる人が私以外にいる。それは少なからず嬉しく思った。