復讐の華

その言葉に晟也は意表を突かれたように黙り、そしてチラリと私を見やった。


ため息を一つ吐く。


「多分、俺が遊んだ女の彼氏。今日その女に呼ばれて行ったら、居たのは男たちだった」


まんまと嵌められたって訳か。


いつか後ろから刺されるよなんて、警告的に言っただけだったのにまさか現実になるとは。


実際には刺されたんじゃなくて殴られたようだけど。


「お前なぁ…なんでそんな女遊びに走ってんだよ」


呆れたように來が言う。


「よく知りもしないのに誘ってきてんのはあっちだから」


天井を見つめる空っぽな瞳。求めど満たされない、乾き。


伊織がかつて私にみせた拒絶とはまた違った、女へのそれ。


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