復讐の華

罪を口にした彼女に、晟也は舌打ちをして荒く手を離す。


しばらくの間倉庫を包んだのは痛いほどの静寂だった。


いきなり突き付けられた真実に、來は酷く動揺していた。


これほど余裕が無い彼の姿は見たことがなかった。


「…ふふ…、今回も上手くいくと思ったんだけどな。アンタは飛鳥より賢かったみたいね」


ゆっくりと立ち上がった小谷沙耶が言う。


全て知られたことの絶望に壊れてしまったように、不気味な笑みを浮かべていた。


そんな小谷沙耶の言葉に、私は体の奥から熱が込み上げてくるのを感じた。


真顔の仮面に怒りを隠すのが大変だった。


ここまで最低なら突き落とした罪悪感など持たなくて済むからむしろ良かった。


本当に、彼女は最初から最後まで裏切らない。


「今すぐ出て行け」


怒りを含んだ來の声は、怒鳴らなくとも通った。

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