旦那様は懐妊初夜をご所望です~ワケあり夫婦なので子作りするとは聞いていません~
「ダメ! 萌奈はここでお昼ご飯とおやつを食べていきなさい!」
「ええ?」
時計を見ると、まだ10時を少し超えたくらいだった。
「どっちみち、景虎さんの仕事が終わるのは夕方でしょ。それまでここにいなさい」
「ええ……」
「なんの心の準備もなく、可愛い一人娘を手放した私の気持ちも汲んでよ」
母は私を離そうとしない。私は諦めて腰を下ろした。
そうか、予定より早く私が家を出ていった……しかも、事故に遭って退院してそのまま景虎のところに行ったから、寂しかったんだ。
お世辞にも嘘がうまくない母は、私に隠し事をしていることも心苦しかったのだろう。
「じゃあ、いただいていきます」
「よし。携帯の充電もしていきなさい」
観念すると、母は満足そうに鼻から息を吐いた。昼食の準備が整うまで、私は事故の前に使っていた自室に戻ることにした。