旦那様は懐妊初夜をご所望です~ワケあり夫婦なので子作りするとは聞いていません~
本人だ。無事でいてくれた。安堵で大きな息が漏れた。
「萌奈、無事か。今どこにいる?」
『実家にいる。昨夜はごめんなさい。気が動転していて』
「怪我は? 大丈夫か?」
『うん、たんこぶだけ』
後頭部をさする萌奈の姿が目に浮かんだ。
よかった。泣いてもいないようだし、冷静さを取り戻しているようだ。
「すぐに会いたい」
『ん、でも……仕事中でしょ?』
そんなことは関係ないと言いたかった。でもそれでは、堺と一緒になってしまう。
一瞬迷うと、萌奈が先に話した。
『それに私、あなたと話す前に綾人と決着をつける気でいるの』
「なんだって?」
決着。もしや、綾人に別れを切り出す気か。
「待て。俺も一緒に行く」
『でも、前みたいにケンカになると困るし』
殴られておいて、なにを言っているのか。危機感のない萌奈にこっちが焦る。
「いや、ダメだ。ひとりで行くな」
『大丈夫。お母さんか誰かについてきてもらう』