花の都の王子は、異世界から来た女の子が愛しくてたまらない。
第一幕 異世界から来た女の子が愛しくてたまらない。

プロローグ




 『ねえ、おばあちゃん。今日もお花の国のお話聞かせて』


 私は小さい頃、よくおばあちゃんの家に遊びに行っていた。彼女が昔、住んでいたという“お花の国”の話を何回も何回も聞いたのを覚えている。

 その話をするおばあちゃんはとても楽しそうにまるで少女ののような顔をして話してくれた。
 だから、私も興味が湧いてお花の国のことが大好きで、いつかどこにあるのかわからないけど、彼女の大好きな花の国に行ってみたいと思っていた。

 そして、高校三年の受験シーズン真っ只中におばあちゃんは亡くなった。
 高校に入ってからずっとおばあちゃんの家には行かなくなって、元気な姿を見たのはいつだか思い出せないくらいだ……。

 だけど、おばあちゃんが亡くなる直前。彼女は私に最後の力を振り絞り言った。


 『……もう一度、もう一度だけ、あの国に行きたかった……っ、あの子に、あの人に会いたい。もし、あなたがあの国に行ったらその時は』




 ━︎━︎愛してるって、伝えて欲しいの。





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