イジメ返し―新たな復讐―
『カスミちゃんはちょっと悪ふざけがすぎるだけだよ』

って笑い飛ばすに違いない。

真紀のそういう鈍感な部分にわたしがどれだけ傷付けられたのか、等の本人は気付いていないだろう。

鈍感は時として罪になり、誰かを傷付ける。

「辛かったんだね。いいんだよ、エマは愛奈ちゃんの味方だから。全部吐き出してみて?」

エマちゃんがわたしの背中を優しくさする。

その手のひらのぬくもりに伊藤先生を思い出す。

きっと、エマちゃんならわたしの気持ちを分かってくれるはずだ。

きっと――。

「エマちゃん、あのね――」

わたしは今までの出来事を全て洗いざらいエマちゃんに話した。

何度となく言葉につまって黙り込んだり、嗚咽を漏らすわたしをエマちゃんは背中をさすったり、手を握り締めたりして必死に励ましてくれた。

「愛奈ちゃん、ずっと辛かったんだね」

話を聞き終えると、エマちゃんはわたしの欲しい言葉をかけてくれた。

「今までよく耐えたね。生きていてくれてありがとう」

「エマちゃん……」

エマちゃんはわたしの顔を覗き込んで柔らかい笑みを浮かべた後、こういった。
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