イジメ返し―新たな復讐―
わたしとエマちゃんは今朝初めて言葉をだけの関係だ。
そんなエマちゃんにそこまでのことをしてもらうわけにはいかない。
「迷惑だなんて思ってないよ。エマはね、ただ許せないだけ。イジメという卑劣な行為を行う愚かな人間が。イジメによって苦しむ人を救いたいと思うことはダメなこと?」
「ダメじゃないけど……」
「じゃあ、決まりでいいよね?」
イジメ返し。
エマちゃんのその言葉にわたしの心は揺さぶられた。
本当にできるものならばわたしだってカスミちゃんにイジメ返しをしたい。
やられた分の倍以上……ううん、100倍にして返してやりたい。
わたしにはそれぐらいしてもいい権利があるはずだ。
心も体も傷付けられて追い詰められた。
明日学校へ行けばわたしへの更なるイジメが待っていることだろう。
わたしにはもう、イジメ返しに……救世主のように目の前に現れたエマちゃんにすがることしかできなかった。
「うん。やる。カスミちゃんに……イジメ返しをする」
わたしの言葉にエマちゃんは優しく微笑んだ。
「気持ちが固まったみたいでよかった。でも、これだけは約束して。イジメ返しはイジメられた相手にだけするもの。他の人を巻き込んだらダメ。もちろん、愛奈ちゃんが誰かをイジメることなんてあってはいけないの」
「それは大丈夫。イジメられたことはあるけど、誰かをイジメたことなんて一度もないよ」
「それならいいの。イジメの被害者だった人が加害者になることって……結構あるの」
エマちゃんの言葉にわたしは大きく首を振った。