イジメ返し―新たな復讐―
お世辞にも綺麗とは言えない容姿だけど、いつもにこにこと笑顔を絶やさない母の周りには常に人が絶えなかった。
友達からも近所の人からも先生からも『いいお母さんだね』といつも褒められた。
『でも、美人じゃないから』とあたしはいつも反論していた。
「もっと美人に産んでくれればこんな人生は歩まずにすんだのに!!!」
そう叫んで母の胸ぐらから勢いよく手を離すと母は受け身を取れずにその場に倒れ込んだ。
その拍子にチェストの角に頭をぶつけた。
「あっ!」
ゴンっという鈍い音の後、うつぶせに倒れた母の頭の付近から真っ赤な鮮血が流れ出した。
「えっ、ちょ……お母さん……?」
母の肩を恐る恐る揺らすと、母は「うっ……うぅ……」とわずかなうめき声をあげたあとゆっくりとした動作で起き上がった。
よかった。生きてる……。
こめかみの辺りが切れてしまったようだ。
「だ、大丈夫?」
「えぇ」
母はエプロンの中のタオルを取り出すと、出血している場所を押さえた。
でも、そのタオルはすぐに血に染まる。
「きゅ、救急車呼ぶ?」
今まで母に何度となく暴力を振るった。でも、ここまで血が出たのは初めてだ。