イジメ返し―新たな復讐―
「あはははは~!これ愛奈が踊ったら絶対バズるって!」

志穂ちゃんがお腹を抱えて笑い転げている。

面白くない。わたしにとっては1ミリも面白くなんてない。

「こんな難しいの……踊れないよ……。わたし、ダンスとか経験ないから」

顔が引きつる。

「だから、いいんじゃん。じゃ、とりあえず何回か見て覚えてよ。で、ノリノリでやってよね。あっ、やべ。充電ねぇし。コンセントどこにあんの?」

カスミちゃんはそう言うと勝手にスマホの充電をはじめ、我がもの顔でベッドを占領して本棚の中から取り出した漫画を読み始めた。

志穂ちゃんはあろうことかベッドにあぐらをかきながら化粧直しを始めた。

ぽろぽろとファンデーションのパウダーがベッドに落ちる。

なにこれ。

どうしてこんなことをさせられなくちゃいけないんだろう。

理不尽な気持ちを抱えながらも一分でも一秒でも早くこの部屋から出ていってほしかったわたしは彼女たちに従うしかなかった。


「あはははははは!!ウケる~!!お前、下手か!!」

「ロボットかっつーの!!愛奈、サイコー――!!」

「つーか、めっちゃ笑顔なんだけど!いいよ、マジで最高の出来だから!!」

顔が強張ってるとか、動きが悪いとか、何度かのダメ出しの後、わたしは腹を決めて振り切ったダンスを披露した。

指示された通り笑顔を浮かべて全力で踊りきったことで、二人にとって完璧な動画がとれたらしい。
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