きみと秘密を作る夜


バイトが終わった後で、あさひは遼に電話した。

相変わらず勝手だなとは思ったが、でも呼び出された遼があまりにも喜んでいたので、私は怒るに怒れなかった。


3人でファミレスに行き、ドリンクバーだけでお喋りに興じる。


ほとんどが、ふたりの中学時代の話だった。

担任がハゲだったとか、ムカつく先輩が滑って転んだ姿がおもしろかったとか、そんなくだらない話ばかりだったが、でも気付けば私も一緒になって笑っていた。



「今度、写真見せるよ。あ、そのついでにうちに泊まりにくればいいじゃん。夏休みだし。ね? リナ」


あさひの提案に、「俺も泊まりたい!」と遼は横から言うが、すかさず「バカじゃん」と突っ込みが入る。



あさひと遼が一緒になると賑やかさは何倍にもなるが、しかしこんなに笑ったのは久しぶりだなと思った。


あさひと同じで、遼も太陽みたいに眩しい人。

だからどうしても、私は嫌いにはなれないのだろう。

< 130 / 272 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop